東京地方裁判所 昭和43年(ワ)8296号 判決
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〔判決理由〕原告の当事者能力の有無について。
……を総合すると、次のとおりの事実が認められる。原告は、昭和三〇年頃、大洋観光に勤務する一般従機員およびホステスを会員として、会員相互の友好親睦、共済福利をはかると共に前記会社の発展に寄与することを目的として結成された団体であつて、会則を有し、右会則で、原告の名称を現名称(社友会)とすること、事務所を大洋観光内におくこと、臨時雇いの従業員、ホステスを除く大洋観光の従業員、ホステスたる会員をもつて組織すること、会員が大洋観光を退職したときは翌日から会員たる資格を失うこと、前記のとおりの目的、および右目的達成のために会員に対する慶弔金、災害傷病見舞金等の支給、資金の貸付、会員の親睦、保健教養、共済に関する事業等を行うこと、在籍五年以上の会員中から、大洋観光の本社各部、営業所ごとに役員候補者二名を選出し、右候補者の互選によつて役員一〇名を選出し、選出された一〇名の互選によつて会長一名を選出すること、会長は役員中から副会長、幹事長各一名、会計監事二名を指名すること、役員の任期は二年とし、再選を妨げないこと、会長が会務を総覧し、重要事項について決裁を行うこと、幹事会において附議された事項を審議し、会長の承認を経てこれを決定すること、会員から会費を徴収し、右会費および寄附金等をもつて原告の運営資金に当てること等が規定されている。原告は右会則に基づいて、現に大洋観光の臨時雇いを除く一般従業員、ホステスを会員とし、その事務所を肩書住所の大洋観光から賃借した一室におき、銀行預金一二、〇〇〇、〇〇〇円余等の資産を有し、事務員三名を雇傭し、前記会則で定められた事業を行つており現在会長は依田清である。右のように認められ、右認定を妨げるに足る証拠はない。原告は、その会員総会に当るものとして、会則によつて、毎年一回以上会員の親睦会を行うこととされていると主張するが、前掲甲第一号証によつて認められる原告の会則第一〇条の親睦会に関する規定および原告代表者依田清本人の供述を合わせて考えると、原告が行う会員の親睦会は、会員の観睦、慰安を計るための旅行等の行事であることが認められるから、これをもつて社団の意思決定機関としての社員総会に当るものとは到底いえず、他に原告の会則にその総会に関する規定があること、原告の総会またはこれに相当するものが開かれたことがあることを認めるに足りる証拠はない。
前記認定事実によると、原告は、前記認定のとおりの目的で、大洋観光の臨時雇いを除く一般従業員、ホステスたる会員によつて構成される団体であり、その構成員の変動によつてはその同一性を失わず、その構成、団体意思の形成、その執行、代表等団体としての組織、運営に関する規範である会則、および団体としての財産を有し、前記のとおりの事業を行つているものであるから、前記のとおり、その会則には会員総会に関する規定がなく、かつ会員総会が開かれたことも認められず、また……によると、原告の会則で定められた大洋観光本社各部および営業所ごとに選出される役員候補者二名の選出は、会員の自由な意思を十分に表明できないような方法によつて行われていることが認められることなどからすると、その管理運営において多数決の原則が十分に行われているとはいえず、団体の民主的管理運営という点において著しい欠陥があるといわなければならないけれども、社団であつて代表者の定のあるものということができるから、民事訴訟法第四六条によつて訴訟当事者能力を有するものというべきである。(寺井忠)